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ルーフィングとは?種類・役割・選び方・費用など屋根の防水完全ガイド!

ルーフィングは屋根材の下に隠れているため普段目にすることはありませんが、家を雨漏りから守るための「最後の砦」として、その選択は住宅の寿命やメンテナンス費用に大きく影響します。
逆に、性能が伴っていないルーフィングを使用していれば、せっかく高耐久の屋根材を使用しても雨漏りを起こす可能性があるのです。
屋根リフォームをお考えの方へ、ルーフィングとは何か、どのような種類があるのか、また私たち街の屋根やさんがオススメする主要メーカーのルーフィングについてご紹介いたします。

「数年前にちょっとだけ雨漏りしたけど、その後は何も問題がない」という方、おそらくはルーフィングに問題を抱えています。
屋根は表面の瓦やスレート(コロニアル・カラーベスト)、金属だけでなく、その下のルーフィングでも雨漏りを防いでいるのです。
むしろ、雨漏りの決定打となる雨水の浸入を防いでいるのはルーフィング(防水紙)ということを覚えておきましょう。



屋根の下に敷かれているルーフィングは、普段は目にすることがありません。
しかし、実際には住宅を雨漏りから守るうえで欠かせない「生命線」といえるほど重要な役割を担っています。
厚みがたった1mmほどの薄いシートであっても、その存在によってお住まいの寿命は大きく左右されるのです。
ルーフィングは屋根の生命線となる防水シート

ルーフィングは屋根の下地材として用いられる防水シートのことを指します。
「防水紙」や「屋根下葺材(したぶきざい)」と呼ばれることもあります。
住宅の屋根は基本的に木材でできた野地板 → ルーフィング → 瓦やスレートなどの屋根材という三層構造で成り立っています。
この中でルーフィングは中間層に位置し、外側の屋根材から浸入してきた雨水を遮断する役割を果たしているのです。
かつては塩ビシートや杉皮が使われていましたが、現代の住宅では高耐久なルーフィングが標準的に使用されるようになりました。
ルーフィングの役割
雨水の浸入を食い止める最後の砦


屋根材は完全な防水が可能な構造では無いため、隙間から雨水が入り込むことがあります。
そのときに機能するのがルーフィングです。
浸入した水を確実に受け止めて野地板や屋根裏へと届かないようにし、軒先へと排水します。
つまりルーフィングは「最後の砦」として、屋根全体を守る防水面の決定的な役割を担っているのです。
施工に問題がなく、なおかつルーフィングが健在であれば、表面の屋根材に割れや欠損などの不具合が生じても雨漏りは発生しません。
野地板を劣化から保護する

屋根の下地である野地板は木材でできており、水分には非常に弱い性質を持っています。
もし野地板の上にルーフィングがなければ、屋根材の下から浸入した水分が直接染み込み、腐食やカビが簡単に引き起こされてしまいます。
そうした劣化が進めば、やがて雨漏りや構造体の損傷にもつながりかねません。
野地板は屋根の土台部分として機能しており、ルーフィングと同じ重要度の役割を担う下地材です。
ルーフィングは、そんな野地板を守ることで屋根の耐久度を維持し、長く安心して住める環境を支えているのです。
住宅全体の耐久性向上にも

ルーフィングがあることで雨漏り被害を防ぎ、建物全体の構造体の耐久性を損なわずに済みます。
木材の腐食やカビの発生を防ぐことは住宅の寿命を延ばし、メンテナンスコストを抑えることにもつながります。
普段は外から見えない存在ですが、高品質なルーフィングを選ぶことはお住まいの長寿命化に直結する大きなポイントです。

雨漏り時の雨水の浸入について
ほとんどの方は屋根の表面に葺かれた屋根材で雨の浸入を防いでいるとお考えでしょう。
極端な降り方をしない雨に限っては概ね正解です。
瓦が割れて雨漏りを起こしてしまった、瓦を差し替えたら雨漏りが改善した。
このような経験をされた方であれば屋根材が雨漏りを防いでいる、そう考えていても不思議ではありません。
ただ、その認識には誤りがあります。
正しい答えは「傷んでいるルーフィングの部分を運よく新規の瓦が保護したから雨漏りが止まった、ように見えているだけ」なんです。
実際にこの後雨漏りが起きなくなったという住宅もあるため、屋根材の破損が雨漏りを引き起こすという捉え方も間違いではありません。
ただし今回はもっと根本的な部分のお話です。

例えば、瓦屋根のお住まいで点検のために瓦を外すと、必ずと言ってよいほど砂などの埃が溜まっています。
砂などの埃が屋根材の下に侵入してきているということは、当然ながら雨水も浸入してきているでしょう。
砂の入る隙間があるなら、雨水が入る隙間もあるということです。
前述の「数年前にちょっとだけ雨漏りしたけど、その後は何も問題がない」というケースは強風や風向きなどでたまたまルーフィングが傷んでいた部分に雨水が浸入してきたのでしょう。
数年前に雨漏りしたというなら、その時以上にルーフィングの老朽化が進んでいてもおかしくはありません。


屋根からの雨漏りの主な原因はルーフィングの劣化や施工不良
例えば吹き込むような雨の日、窓ガラスの隙間から雨漏りが起きてしまったのであれば原因はサッシです。
同じような日、小屋裏が濡れているけど野地板に雨染みがない…このような場合は屋根ではなく換気口等が原因の可能性もあります。
しかし天井から雨漏りが発生し野地板も濡れている場合、原因は換気棟の施工不良でもない限り屋根からの漏水の可能性が大きいです。
そしてなぜ雨水が入り込んできたのかに関しては「ルーフィングが傷んでいるから」なのです。
屋根からの雨漏りの多くは、このルーフィングの劣化による破れや施工不良が原因で発生します。

公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターの住宅相談統計年報2024年によれば、既存の戸建住宅の相談で圧倒的に多かったのが雨漏りに関するものでした。
その中でも「当該事象が多く見られる部位」には屋根が挙げられております。※
つまり、多くの雨漏り原因には屋根のルーフィングの劣化状態が関わっていることがわかります。
※参照:「住宅相談統計年報2024年」p26 公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター


屋根材のメンテナンスは行わなくても良いといっているわけではありません。
屋根材のメンテナンスを行う際には必ず、ルーフィングの寿命・劣化を考慮して行わなくてはならないということです。

ここまででルーフィングの重要性はご理解いただけたかと思いますが、実際にどのようなルーフィングがあるのか、またリフォーム時にどのルーフィングが使用されるのかを気にして工事に臨んでいる方は非常に少ないです。
そこで現在使用されることの多いルーフィングの種類とオススメをご紹介したいと思います。

アスファルトルーフィング940

最も古くから普及しているのがアスファルトルーフィング940です。
フェルトにアスファルトを染み込ませ両面からアスファルトで覆い、さらに鉱物質粉末を圧着させたものです。
「940」という数字は、1平方メートルあたりの重さが940グラム以上であることを意味し、JIS規格で定められた最低基準を表しています。
価格は比較的安価で、1平方メートルあたり約200円〜300円と導入しやすいのが大きな魅力です。
しかしその分、耐用年数は8〜10年程度と短く、劣化や破れが起こりやすいという弱点があります。
夏の高温や冬の低温による伸縮を繰り返すことでルーフィングにひび割れが発生し、防水性が低下してしまうこともあります。
新築などでは見えない部分でコストカットをするため、こちらのルーフィングが使われることが多いようですが、リフォームでの使用は避けられる傾向にあります。
☑ 価格:1㎡あたり約200円〜300円程度
アスファルトルーフィングの代表製品
代表的な製品には田島ルーフィングの「Pカラー」や日新工業の「カラールーフィング」などがあります。
お勧めは改質アスファルトルーフィングです!

改質アスファルトルーフィング(ゴムアスルーフィング)は、アスファルトの他に合成ゴムや合成樹脂を加えたもので、耐久性が高いのが特徴です。
アスファルトにゴムやポリマーを加えることで柔軟性や耐久性が高まり、寒暖差による伸縮で発生する割れや釘穴からの漏水も防げるようになっています。
基材に合成繊維を使用することが多く、紙製と比べて破れにくい点も特長です。

改質アスファルトルーフィングと一言で言っても種類は豊富です。
通常のものであれば寿命は20年~30年ですが、田島ルーフィングのマスタールーフィングは60年以上の寿命を持つといわれています。
価格は1平方メートルあたり約350円〜2,500円と幅がありますが、長期的に見ればコストパフォーマンスは非常に高いといえるでしょう。
☑ 価格:1㎡あたり約350円〜2,500円程度
改質アスファルトルーフィングの代表製品
代表的な製品には田島ルーフィングの「PカラーEX+」「ニューライナールーフィング」「マスタールーフィング」や、日新工業の「カッパ23」「カッパ100」などがあります。
特に「ニューライナールーフィング」は30年以上の耐用年数を誇り、大手ハウスメーカーにも採用される信頼性の高い製品です。
耐用年数を20年としているメーカーが多い中、田島ルーフィングのニューライナールーフィングだけ30年と明言しているのは、実際に施工から30年経過した建物をメーカー自身が数多く点検を行い、問題が無かったということを検査しているからです。
実績に基づいた性能であり、自信を持って耐用年数は30年と明言しているのですから、使う側も安心することができます。
街の屋根やさんの施工事例を見ていただくと、私達もこのニューライナールーフィングを屋根リフォームに使用していることがあります。
粘着式の改質アスファルトルーフィングがオススメの理由

粘着式の改質アスファルトルーフィングには裏面に粘着層があり、釘やタッカーを使わず直接貼り付けられるため、特に既存の屋根材に重ね葺きを行うカバー工法で活用されることが多いです。
硬いスレートにはタッカーが効かないため、屋根カバー工法では必然的に粘着式のルーフィングを使用することになります。
また、粘着式は屋根全面にピッタリくっついてくれますので、緩い勾配の屋根を葺く場合であっても雨水が浸入しにくい屋根に仕上げられます。
屋根材によっては、メーカーが緩い勾配時のルーフィングに粘着式をしているケースもありますので、その防水性の高さが伺えますね。
耐用年数は20年〜30年程度と長く、価格は1平方メートルあたり約600円〜900円と他のルーフィングに比べてやや高価ですが、確実な防水性を求める場合には適しています。
ただし、アスベストを含むスレート系屋根材に使用する場合は注意が必要で、将来的な解体時に分別が難しくなるリスクがあります。
☑ 価格:1㎡あたり約600円〜900円程度
粘着式の改質アスファルトルーフィングの代表製品
代表的な製品には田島ルーフィングの「タディスセルフ」「タディスセルフカバー」「アンダーガムロンDX」、日新工業の「カスタムライト」などが挙げられます。


高分子系ルーフィングは、アスファルトを使わずに合成繊維や合成樹脂(ポリプロピレン・ポリエチレンなど)を主原料としたルーフィングです。
特筆すべきはその軽さで、製品によっては1㎡あたりわずか約0.4kgという超軽量を実現しています。
屋根全体の重量が抑えられることで建物への負担が減り、耐震性の向上や建物の長寿命化にもつながります。
また、防水性や耐久性、耐熱性にも優れ、総合的に高い性能を発揮します。
☑ 価格:1㎡あたり約720円〜1,000円程度
☑ 用途:欧米では標準仕様となっており、日本でも耐震性や軽量化を重視する住宅に推奨されています
高分子系ルーフィングの代表製品
代表的な製品には、ケイミューの「遮熱ノアガードⅡ」、ウルトジャパンの「ウートップハイムシールド」などがあります。


透湿ルーフィングは、雨水を遮断しつつ屋根内部の湿気(水蒸気)だけを外に逃がすことができる、高機能な建材です。
内部結露による野地板の劣化や腐食を防ぐことで建物全体の耐久性を高めると同時に、小屋裏の温度上昇を抑え、夏場の室内環境を快適にする効果もあります。
アスファルト系に比べて150〜200倍もの透湿性を誇る製品もあり、軽さと強度を兼ね備えています。
☑ 価格:1㎡あたり約500円〜1,500円程度
☑ 用途:高気密高断熱住宅や木造住宅に特に適しています
ヨーロッパでは標準仕様として普及していますが、日本での認知度はまだ低く、普及率は約5%ほどにとどまっています。
透湿ルーフィングの代表製品
代表的な製品は、デュポンの「タイベック ルーフライナー」やウルトジャパンの「ウートップ」です。

建築技術の進化により、特定の機能を強化したルーフィングも登場しています。
遮熱ルーフィング

表面にアルミ箔などの反射層を設け、太陽光の輻射熱を反射して屋根裏や室内の温度上昇を抑えるタイプです。
夏の冷房効率を改善し、省エネ効果が期待できます。
代表例は田島ルーフィングの「タディスクール」やフクビの「遮熱ルーフエアテックス」です。
不織布ルーフィング

紙ではなく繊維を絡めた不織布を基材としており、高い強度と耐久性を誇ります。柔軟性もあり、複雑な屋根形状にも対応可能です。
田島ルーフィングの「ニューライナールーフィング」や「タディスセルフカバー」が代表的な製品です。

ここまで多くの種類のルーフィングをご紹介してきましたが、実際にどれを選ぶ方というと寿命が長いほうが安心感がありますよね?
しかし実際は使用したい屋根材の耐用年数と合わせてルーフィングを決めることが重要です。
ルーフィングと屋根材の耐用年数がメンテナンス費用へ影響する理由
ルーフィングの耐久性は屋根リフォームのタイミングを大きく左右します。
ルーフィングが先に劣化してしまうと、雨漏りを防止するためには屋根材が使える状態であっても一度撤去して交換しなければならず、その際に屋根材も新しくする必要が生じます。
特にスレートや金属屋根は一度剥がすと再利用できないため、余計なコストにつながってしまうのです。

そのため、屋根材の寿命に見合う高品質のルーフィングを選ぶことが、長期的なコスト削減のポイントとなります。
たとえばガルバリウム鋼板のように30年以上もつ屋根材を使用する場合には、それに対応できる耐久性を持つルーフィングを選ぶのが理想なんです。

化粧スレートの耐用年数はせいぜい30年ですが、60年近くの耐久性が望めるマスタールーフィングを使用しても寿命まで使えずに葺き替えることになってしまいます。
わざわざ高価なルーフィングを使用する必要はなかったという結果になるのです。
ルーフィングを決める際にはどの屋根材を使用するのか、次回のメンテナンスはいつ頃行う予定なのかを大まかにでも決めておいたほうが良いでしょう。

新築時にはルーフィングの選択権がない?「建築側の暗黙のルール」
新築住宅では、お客様にルーフィングの種類を選ぶ権利が与えられないことが少なくありません。
その理由には、建築事業者がコストを抑えるために安価なアスファルトルーフィング940を選びやすいという事情があります。
さらに、「住宅瑕疵担保履行法」により事業者は10年間の雨漏り保証を義務付けられていますが、この保証期間が「最低10年もてば良い」という考え方を助長してしまう恐れもあります。
10年を過ぎた後の雨漏り修繕費用はすべてお客様の自己負担となるため、耐久性の高い製品を選ぶかどうかで将来の負担は大きく変わります。
安価なアスファルトルーフィング940は最低限の基準を満たす製品ですが、メーカーの試験ではわずか5年で性能が急激に落ちるケースも報告されています。
屋根のリフォームや新築を検討する際には、改質アスファルトルーフィング以上を選ぶことが安心につながるでしょう。
実は、最も安価なアスファルトルーフィング940から改質アスファルトルーフィングへグレードアップするだけで、費用は数万円程度の差で済むことが多いため、コストパフォーマンスに優れた選択肢としてオススメできるんです。

《ちなみに…》
屋根はルーフィングが守っていますが、外壁には透湿防水シートが使用されています。
これは主に外壁の屋外側に設置されていますが、水は通さないが湿気を通す性質を持っています。
似たもので防湿気密シートというのもありますが、外壁の屋内側に取り付けられ水も湿気も通さない性質を持ちます。
屋根の場合、雨水の浸入を防ぐためにルーフィングが使用されますが、一般的なルーフィングは水を通さず、湿気も通さないものが多く普及しています。
しかし、小屋裏に湿気がこもり蒸し暑いなどの問題がある場合は、湿気を外に逃がす透湿ルーフィングによる湿気対策や、換気棟・妻側換気・軒裏換気の設置によって熱を逃がすことができます。

ルーフィングは屋根の防水機能の要であるため、その性能を最大限に引き出すには適切な施工が不可欠です。
施工不良は、後々の雨漏りの直接的な原因となります。
ルーフィングの固定方法は2つあります
タッカー留め

大型のステープラー(ホッチキス)に似たタッカーと呼ばれるもので、ステープル(コの字型をした針)で固定します。
改質アスファルトルーフィングの場合、わずかな穴に対するシール性がありますので、ステープルとルーフィング間の隙間はしっかり埋めてくれます。
粘着式

改質アスファルトルーフィングの野地板と接する面に粘着力があり、そのまま接着し、固定します。
ステープル(コの字型をした針)を使うタッカー留めとは違い、穴が開かないので防水性が高いことが特徴です。
アスファルトルーフィングはタッカー止めのものしかありませんが、改質アスファルトルーフィングはタッカー留めのものと粘着式のものがあります。
耐久性 | 固定方法 | 施工方法を 含めた耐久性 |
|
---|---|---|---|
アスファルト ルーフィング |
中 | タッカー留め | 中 |
改質アスファルト ルーフィング (ゴムアスルーフィング) |
高 | タッカー留め | 高 |
高 | 粘着式 | 最高 |
ルーフィングの基本的な施工方法

施工方法は雨水の浸入を防ぐため、軒先(屋根の低い部分)から棟(屋根の高い部分)へ、つまり下から上へと重ねて貼るのが基本です。
上下方向で100mm以上、横方向で200mm以上の「重ね代(かさねしろ)」を確保して貼り重ねる必要があります。
多くの製品には、この重ね代の目安となるラインが印刷されており、正しく施工されているかを確認できます。
近年トラブルは少なくなりましたが、以前はルーフィングを棟から軒先に向かって葺き、重なり合ったルーフィングの隙間から雨水が入り込み雨漏りを起こすトラブルが多くあったようです。


ルーフィングは必ず屋根材で隠れます。
そのため施工中の写真がない限り異常に気付かないということも考えられますので十分に注意しましょう。
施工事例を公開しているサイトでは、リフォーム時のルーフィング施工について写真を掲載していることが多く、実際の現場の様子を確認することができるはずです。
工事の種類や屋根材によってオススメの施工方法は異なります
施工内容 | おすすめの施工方法 |
---|---|
新築や葺き替え工事 | タッカーでルーフィング固定 |
屋根カバー工法 (ノンアスベスト屋根材の場合) |
粘着タイプのルーフィングを使用 |
屋根カバー工法 (アスベスト含有屋根材の場合) |
エア釘打機と板金チップでルーフィング固定 |
新築や葺き替え工事の場合
多くの場合、野地板にタッカー(ホッチキスのような工具)でルーフィングを固定します。
タッカーの穴は太陽熱によってルーフィングが柔らかくなり自然に塞がる仕組みです。
屋根カバー工法(ノンアスベスト屋根材の場合)
既存のスレート材の上から施工する場合、タッカーは効かないため粘着タイプのルーフィングを使います。
釘やビスを使わず貼り付けることで高い密着性を実現します。
屋根カバー工法(アスベスト含有屋根材の場合)
アスベストを含むスレート材には粘着式は適しません。
将来の解体時に分別が困難になるためです。
その場合はエア釘打機と板金チップを使って固定することが多いです。
工法や屋根材に限らず「改質アスファルトルーフィング」がオススメな理由

シール性の高い改質アスファルトルーフィングは、屋根材や桟木をビス止めする場合でも有利です。
収縮性があるのでビスに密着し、その隙間を極力小さくします。
桟木とルーフィングの間に隙間がないということは、屋根内部に入り込んだ雨水が桟木部分に滞留するのではないかと思われますが、瓦桟木には溝を加工し雨水が流れるような仕組みがあります。

木材よりも腐食しにくく耐久性に優れた樹脂桟木にも溝がありますが、心配な方は施工前に確認しても良いでしょう。
穴を開けるのならタッカーで固定するルーフィングでも問題なさそうですが、穴が多ければ多いほどお住まい内部の水の浸入口が増えるのですから、やはり粘着式の方がメリットは大きいのです。
また、ルーフィングの劣化はこの開けられた穴から始まるという説もあります。
穴は少ない方が良いのです。

ルーフィングは国内外のメーカーから数多くの製品が販売されています。
それぞれに特徴や強みがあり、耐久性や施工性、価格などの面で選び方が異なります。
ここでは、代表的なメーカーとそのおすすめ製品をご紹介いたします。
国内最大手:田島ルーフィング株式会社
田島ルーフィングは国内でもっとも知られるルーフィングメーカーのひとつで、20種類以上の製品をラインナップしています。
用途や性能に応じて幅広い選択肢を提供しており、信頼性の高さから多くの現場で採用されています。
代表的な製品には以下のようなものがあります。
PカラーEX+(プラス)

汎用性の高い改質アスファルトルーフィングで、優れた基本性能とコストパフォーマンスを兼ね備えています。
耐用年数は約20年とされており、JIS ARK-04s規格に適合しています。
タディスセルフ/タディスセルフカバー


粘着層付き改質アスファルトルーフィングです。
タディスセルフは貼り直しが可能な遅延粘着型で、改修工事に適しています。
タディスセルフカバーは軽量で施工性に優れ、特にノンアスベストのスレート屋根へのカバー工法に最適です。
タディスクール

表面の反射層により太陽光の輻射熱を反射し、屋根裏の温度上昇を抑制する遮熱ルーフィングです。
ニューライナールーフィング

両面不織布を採用した改質アスファルトルーフィングで、最高級の品質を誇り、防水性・耐久性に優れています。
耐用年数は約30年以上と長く、大手ハウスメーカーでも採用されています.
リフォームで主流となったガルバリウム鋼板やジンカリウム鋼板の耐久性も30年近くになっておりますので、屋根材との寿命を合わせやすいというのも採用されやすいポイントです。
マスタールーフィング

超高耐久の改質アスファルトルーフィングで、約60年という驚異的な耐用年数を誇ります。独自の劣化防止層が特徴ですが、その分価格も高価です。
その他の主要メーカーのルーフィングをご紹介
日新工業株式会社


日新工業からは「カラールーフィング」や「カッパシリーズ」が展開されています。
中でも「カッパ23」は釘穴まわりの止水性や寸法安定性に優れ、「カッパ100」は耐久性・引裂強度・柔軟性を兼ね備えた高性能タイプです。
デュポン株式会社

「タイベック ルーフライナー」は、高分子系の透湿ルーフィングとして知られています。
湿気を効率的に屋外に逃がすことで野地板の腐食や変形を防ぎ、軽量かつ高い引裂強度を持つのが特徴です。
ケイミュー株式会社

ケイミューからは「遮熱ノアガードⅡ」が発売されています。
軽量ながらも遮熱性能を発揮し、同社の人気屋根材「ROOGA」と組み合わせることで高い相性と快適性を実現します。特に屋根材とルーフィングの間に空間を設けることで、遮熱効果を一層発揮できる点が魅力です。
ウルトジャパン株式会社

ドイツのウルト社が手掛ける「ウートップ」は、耐用年数約80年という非常に長寿命の高分子系透湿ルーフィングです。
ヨーロッパの高気密高断熱住宅では結露対策の定番として採用されており、日本国内でも高性能住宅を志向する施主に注目されています。

今回はルーフィングがいかに重要な存在であるか、また正しいルーフィングの選び方についてご紹介させていただきました。
ルーフィング選びで大切な視点

まず重要なのは、屋根材との相性と耐用年数です。
たとえば、ガルバリウム鋼板のように30年以上の寿命を持つ高耐久屋根材を使う場合には、それに見合った耐用年数を持つルーフィングを選ぶ必要があります。
費用面においても、ルーフィングのグレードを上げることで屋根工事全体の費用が大幅に増えるわけではありません。
数万円程度の差で将来的な修繕コストを大きく減らせるため、長期的な安心を優先した選び方をオススメしています。
一方で、「アスファルトルーフィング940」のような最低基準品は避けたいところです。
価格の安さから建売住宅などで使われることが多いものの、耐用年数は約10年、場合によっては5年ほどで性能が低下することもあり、早期の雨漏りリスクを抱える可能性があります。
屋根リフォームでは最低でも「改質アスファルトルーフィング」以上を選ぶことをおすすめします。
信頼できる業者を選ぶためのポイント

ルーフィングは部分的に剥がせる瓦ならまだしも、化粧スレートや金属屋根材であれば状態確認すらできません。
だからこそ誤った施工方法すらも見逃されやすく、雨漏りが起きてしまったときにはじめて後悔に至るのです。
ご自身では確認が難しく、補修もできない屋根だからこそ、最も大事なのは正しい説明をしたうえで適切な施工を行う屋根工事業者にお願いするということです。
それらを見極めるには実際にその工事会社に工事を任せた方の感想やアンケート、また工事中の写真をしっかり公開している(自信をもって正しい工事を行っているのか)ということがチェックポイントです。

どれほど良いルーフィングを選んでも、悪質業者による施工不良が発生すれば本来の性能を発揮できません。
見積書の内容をしっかり確認し、「ルーフィング工事一式」といった曖昧な表記ではなく、具体的な製品名が明記されているかをチェックしましょう。
施工は屋根材に隠れてしまうため、手抜き工事が行われやすい部分でもあります。実績が豊富で技術力のある職人が在籍しているかを確認することが、雨漏りを未然に防ぐ最大のポイントです。
誰もができる限り屋根工事を安く済ませたいと考えるかとは思いますが、誤った施工によって雨漏りを引き起こし再補修となってしまっては全く意味を成しません。
正しい工事を行ってくれるのかをまず見極めてから相見積もりを行うようにしていきましょう。

私たち街の屋根やさんでは無料点検はもちろん、「わかりやすい説明でルーフィングの品質を説明」「見積書にどのルーフィングを使用するかを明記する」といったお客様の安心を考えながら工事の対応をしています。
耐久性や性能をしっかり見極め、信頼できる業者に任せることこそが、後悔のない屋根リフォームへの第一歩です。
屋根リフォームを検討している、雨漏りでお困りの方、費用に関しての疑問や不安がある方はお気軽に私たち街の屋根やさんへお問い合わせください。

ルーフィングに関するまとめ
●屋根からの雨漏りは、屋根材そのものの劣化だけが原因ではありません。その下に敷かれているルーフィング(下葺き材)が傷んでいる場合にも発生します。
●過去に雨漏りが一度起き、その後は止まっているというケースでも、ルーフィングの劣化が進んでいます。「いつ、どこから雨漏りがあったか」を把握し、専門の屋根工事業者に相談することが大切です。
●大切なのは、使用する屋根材の耐用年数とルーフィングの寿命を揃えることです。どちらかが先に劣化してしまうと、結果的に屋根全体の耐久性を損なう恐れがあります。
●ルーフィングは「タッカー留め」と「粘着式」に大別されますが、どちらであっても施工後に状態を確認することはできません。そのため、施工時に正しく工事が行われているかどうかを確認することが重要です。
●近年は高耐久の金属屋根材が注目されており、それに見合った耐久性を持つ改質アスファルトルーフィングを採用する業者も増えています。工事を依頼する際は、使用するルーフィングの種類も確認しておくと安心です。
●施工後は確認すらできないルーフィングが屋根の要でもあります。しかも屋根は高所にあるため簡単に点検できません。だからこそ、信頼できる屋根工事業者に正しい工事を任せることが何より重要です。私たち街の屋根やさんは点検・お見積りを無料にて承っておりますので、相見積もりも含めお気軽にご相談ください。