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読むだけでわかるコロニアル屋根の特徴やメンテンナンス・リフォームの注意点
修理やリフォームに対応できる業者もその分多いのですが、コロニアルは様々な問題を抱えていたり、メンテナンス時の注意点が製造時期によって異なるため、業者選びに失敗すると無駄な工事をしてしまう可能性があります。
そこで本記事では、コロニアルの劣化症状やリフォーム・メンテナンスの注意点を含め、
「どんな屋根材なのか」について徹底解説いたします。
さらに、リフォーム業者の視点から屋根リフォームに使用するならコロニアルよりも金属屋根材がオススメできる理由などもご紹介していますので、ぜひご確認ください。
コロニアルとは、住宅の屋根材として最も普及しているスレート屋根の商品名です。
株式会社ケイミューが販売している「カラーベスト」というシリーズの一つがコロニアルで、スレート屋根における普及率が際立って高い商品だったため、商品名がそのままスレート屋根を指す言葉として定着しました。
セメントを基材としたスレート屋根材で、瓦屋根よりも軽量であることから地震に強いとされ、特に阪神淡路大震災の後には多くの新築住宅で採用されました。
それからも長い間、軽さと安さのバランスが優れている商品として日本の住宅市場で高いシェア率を誇っていたのがコロニアルという屋根材です。
街の屋根やさんが屋根の点検やリフォームのためにお客様邸にお伺いすると、体感としてはお住まいの70%近くがコロニアル屋根となっています。
コロニアルの種類
コロニアル屋根と一口に言っても、その種類と特徴はさまざまです。
実は、製造された時期によってコロニアルの耐久性やメンテナンスでの注意点は変わります。
そこで、ご自身のコロニアル屋根がどの時代に当てはまるのかを確認しつつ、今後の修理やリフォームの方針を誤らないように特徴を見ていきましょう。
アスベストが含まれていた時代の「ニューコロニアル」
アスベストは健康被害の原因となることが発覚してから姿を消しましたが、それまでは屋根材に限らず数多くの建材に含まれていた素材でした。
なぜ建築業界においてアスベストが重宝されていたかというと、安価な素材であるにも関わらず耐久力や耐火性などに優れていたためです。
コロニアルの場合では、主材料であるセメントにアスベストを混ぜることで割れにくく頑丈な屋根材に仕上げることができたんですね。
耐久性を底上げしてくれるアスベストの価格が安かったことで、必然的にコロニアルの製造コストも低く抑えることができました。
アスベスト(石綿)を含んでいるこの時期のコロニアルは「石綿スレート」と呼ばれることもあります。
アスベスト含有のコロニアルの中で、最も使用されていたのが「ニューコロニアル」という商品です。
「ニューコロニアル」は1990年代前半まで製造されていた古い種類となりますが、アスベストの特性によって寿命は40年前後となっており、この耐用年数は後発商品のどのコロニアルよりも未だに長いです。
そんな革命的な素材だったアスベストですが、1970年代には既に健康被害が問題視されるようになっており、徐々に取り扱いについての規制が強化されていきました。
結果、2004年には屋根材に1%以上のアスベストを含むことができなくなり、2006年にはさらに0.1%以上の含有が規制(実質的な使用の禁止)されるまでになったため、耐久性に優れていたニューコロニアルは完全に姿を消しました。
そのため、2006年までに建てられたお住まいのコロニアル屋根にはアスベストが含まれている可能性があります。
後に問題が発覚した「コロニアルNEO」
コロニアルNEOは、アスベストを抜いたコロニアル屋根の代表的な商品です。
アスベストの規制を見越していた各メーカーは、1990年代後半からアスベストを抜きにしたコロニアルの製造を進めていました。
コロニアルNEOもその内の一種で、ノンアスベストのコロニアルとして2001年から2008年までの短期間で販売されていた商品です。
コロニアルNEOがたった7年で販売がされなくなったことには理由があります。
それは、アスベストを含んでいた時代のコロニアルに比べて耐久性が著しく欠如していたためです。
アスベストを抜くことは必須でしたが、それによって下がってしまう耐久性を解決できるような代替素材や技術を見つけられないまま販売してしまったため、コロニアルNEOは非常に「脆い」という致命的な欠点を抱えてしまっています。
具体的な症状としては、10年ほど経過すると全体的にひび割れや欠けが目立つようになってしまうのです。
40年は現役でいられたニューコロニアルと比較すると、いかに性能がガタ落ちしているかがわかりますね。
コロニアルNEOに限らず、この時期の各メーカーから販売されたコロニアル屋根材は同様の問題を抱えており、当時お住まいを建てられたお客様は現在になって屋根の不具合に悩まされているケースが非常に多いのです。
ニューコロニアルと時期が被っているため、2001年〜2008年に新築やリフォームを行ったコロニアル屋根は「コロニアルNEO」の可能性があります。
現在のコロニアルは評価途中
アスベストの扱いは全く変わっていないため、現在でも販売されているコロニアルはノンアスベスト屋根材となっています。
ただし、各メーカーは問題のあるコロニアルを販売してしまった過去を踏まえ、耐久性を向上させた新しいコロニアルを開発しました。
中でも主流となっているのが、カラーベストシリーズの「コロニアルグラッサ」や「コロニアルクァッド」といった屋根材です。
コロニアルNEOと入れ替わるようにして2008年以降に登場し、現在に至るまで販売が続いています。
耐久性は間違いなくコロニアルNEO以上となっており、カタログでは30年程度が寿命の目安とされています。
初期の製造からはまだ15年強しか経過していないため、耐用年数については評価途中となります。
しかし、現時点で脆すぎたり特有の劣化症状が進行してしまうような不具合は発生していないため、新築の屋根では安価な施工が可能なコロニアル屋根として重宝されています。
アスベスト無しで30年という耐用年数の目安を実現できた技術力は、メーカーの底力とも言えるでしょう。
コロニアルはアスベストが含まれているかどうかで耐久性が異なりますが、同時にメンテナンスや屋根リフォームの注意点も変わってきます。
アスベストが含まれているコロニアルの注意点
かつて主流だったアスベスト含有のニューコロニアルですが、その多くは施工から30年~40年以上経過しています。
寿命が近づいてきている時期ですので、塗装によるメンテナンスではなく屋根リフォームを業者から勧められたという方も多いのではないでしょうか。
そんなアスベスト含有のコロニアルには、リフォームとして屋根葺き替え工事を行う場合に注意するべき点があります。
それは、健康被害の危険性があるアスベストを含んでいるため、コロニアルの処分や撤去には特別な対応が必要になるということです。
屋根葺き替えの施工時には劣化したコロニアルを屋根から剥がしますが、アスベストの有害性が認められている現在では解体や撤去の際、アスベストの飛散を防ぐために特別な対策や作業を行わなければなりません。
このため、コロニアルの撤去作業や処分費用が他の屋根材よりも高くなりますので、それを念頭に置いた上で葺き替え工事の計画を進めるようにしましょう。
屋根カバー工法なら撤去や廃材処分費は発生しない
既存のコロニアルを剥がさずに新しい屋根を被せる屋根カバー工法であれば、葺き替え時の懸念点となる高コストの撤去・処分費用は掛かりません。
そのため、屋根カバー工法でのリフォームも一つの選択肢となります。
葺き替え工事とカバー工法のどちらを選ぶことが最適なのかは経験豊富な業者からアドバイスを受けることができますので、予算感やリフォーム後に今の家を手放す予定があるか等をお伝えしてみることがオススメです。
アスベストが含まれていないコロニアルの注意点
アスベストが含まれていないノンアスベストのコロニアルは、アスベスト含有のコロニアル屋根のように撤去や処分に関して費用の上乗せが発生することはありません。
しかし、メンテナンスには注意が必要となります。
初期のノンアスベストの屋根材は前述したように劣化が早く、表面の剥離やひび割れが発生しやすいです。
塗装メンテナンスによって耐候性や防水性を回復させることがコロニアルの基本的なメンテナンス方法なのですが、ノンアスベストのコロニアルに塗装を施しても効果はありません。
費用を掛けて塗り替えをしたところで脆い性質であることは解消できないため、どうしても15年前後で劣化が進んでしまうのです。
そのため、初期のノンアスベストのコロニアルへの塗装は推奨しておりません。
「以前は別の業者に塗装をしてもらったが、すぐに傷んできたので屋根を見てほしい」という依頼を受けて調査をしてみると、塗装の意味がないコロニアルNEOが塗装されていたケースに遭遇することもあります。
まともな業者であれば、コロニアルNEOを始めとした特定のコロニアル屋根材への塗装が無意味であることは熟知しておりますので、塗り替えは勧めずに屋根がボロボロになってしまう前でのリフォームを進めるようご提案してくれるはずです。
コロニアルNEOだと判別できない業者もいます
コロニアル屋根の工事はアスベストが含まれているかどうかで対応が変わることをご説明してきました。
そこで重要なのは、やはり正しい施工を行ってくれる業者へ調査や工事を依頼することです。
コロニアルNEOは見るだけで判別できる特有の形状をしているため、知識のある業者は屋根を調査した時点で耐久性に問題を抱えているノンアスベスト屋根材だと見抜くことができます。
しかし、コロニアルNEOの屋根リフォームを検討されていたとあるお客様のケースでは、「アスベストが入っているかわからないので、アスベスト含有としての葺き替え工事の見積もりをお出します」と提案してきた業者がいたそうです。
コロニアルNEOはアスベストを含んでいないため、処分や撤去に高額な費用を掛けずに葺き替えることができるはずですので、もしその業者にだけ調査を依頼して工事まで進めてしまっていたら、不要なコストを負担したままリフォームを行っていた可能性もあるのです。
ですので、もしコロニアル屋根のメンテナンスやリフォームを検討される際には、必ず相見積もりで複数の業者の工事金額や提案内容を比較してみることが重要となります。
かつては軽量かつ低コストで施工できる点から非常に人気が高かったコロニアルですが、現状では金属屋根材が新築市場における屋根材のトップシェアとなっております。
では、リフォーム現場でのコロニアルの評価はどうなのでしょうか。
気になる方、工事を検討されている方に向けて、数多くの屋根工事を行ってきたリフォーム業者がコロニアルの評価を正直にお話したいと思います。
屋根リフォームなら金属屋根の方がオススメです
リフォーム業者である「街の屋根やさん」の見解としては、コロニアルよりも金属屋根の方が屋根リフォームに適していると考えます。
金属屋根は耐候性や耐久性に優れ、メンテナンス頻度も低く済むことから、ランニングコストの面でも優れていることが評価の大きなポイントです。
また、コロニアルのように衝撃で割れてしまうような心配がなく、軽量な屋根材であることから耐震性も高いため、現代の屋根に求められている性能とかなりマッチしているのが金属屋根材なんです。
特にガルバリウム鋼板などの金属屋根材は頑丈でありながらコロニアル以上に軽量です。
加えて耐用年数も長いため、リフォーム時にはコロニアルより値段が高くなりますが、長期的な視点で見るとお得な選択肢と言えるでしょう。
コロニアルの評価が低いわけではない
コロニアルも以前より使用率が落ちてしまってはいるものの、やはり耐久性に対するコストパフォーマンスの良さは他の屋根材に無い大きな武器となっています。
新築時には安価かつ施工の負担が少ないため、コロニアル屋根を採用することで建物全体の建築コストを抑えられる点が評価されることも多いです。
ガルバリウム鋼板にもコロニアルにも一長一短なポイントがありますので、リフォーム検討時には良い点と悪い点をしっかり理解した上で屋根の種類を選択することが重要です。
コロニアルの劣化のサイン
コロニアル屋根は劣化の初期症状として、表面の色褪せやコケの発生が見られるようになります。
特に日当たりの悪い北側の屋根面ではコケが目立ちやすく、コロニアルを保護している塗料が寿命を迎え始める10年~15年でこれらの症状は顕著になってきます。
また、表面の塗装が剥がれることで水分の吸収量が増え、コロニアルのひび割れや反りが進行しやすくなります。
こうした劣化の初期サインを放置しておくとコロニアル本体の強度が弱まり、様々な不具合に発展します。
例えば、反ってしまった部分は風の影響を受け、浮き上がって叩きつけられることで破損するような被害が考えられるのです。
屋根全体で傷みの症状が発生する前に、早めのメンテナンスを行うことが重要です。
インターネット上でコロニアルのメンテナンスについて情報を集めていると、「コロニアル(スレート屋根)への塗装は不要」「コロニアルを塗り替える意味がない理由」などの意見も多く見受けられますよね。
結論から申し上げますと、街の屋根やさんとしてはコロニアルへの塗装が必要と考えています。
なぜ塗装は不要と言われているのか
コロニアルへの塗装が不要としている記事などを見てみると、以下のような内容が散見されます。
☑ 塗装によってコロニアルが長持ちするとは限らない
☑ コロニアルの劣化が進んで割れてしまっても屋根機能には問題がない
まずは「塗装によってコロニアルが長持ちするとは限らない」についてですが、実際にコロニアルの劣化が早まってしまう原因には、表面を保護している塗膜の劣化が挙げられます。
塗膜が経年劣化によって剥がれたりすると、コロニアルは雨水や紫外線の影響を受けやすくなります。
コロニアルへの環境的な負荷が増大しますので、必然的に塗り替えで防水性や耐候性を回復させている屋根よりも早く劣化し、寿命を迎えてしまうのです。
同時期に建てられた住宅群の屋根調査にお伺いしてみると、塗装メンテナンスを行った屋根とそうでない屋根ではコロニアルの劣化症状に差があるように感じられます。
防水紙への悪影響は免れない
また、「コロニアルの劣化が進んで割れてしまっても屋根機能には問題がない」とする見解ですが、こちらも疑問が残ります。
確かに、コロニアルは部分的に上下の屋根材が重ねられているため、ひび割れたとしても屋根機能への影響は少なく済むでしょう。
しかし、塗装が劣化したままではコロニアルが雨水を含みやすくなり、反りや割れといった不具合を起こしやすくなるため、その影響は確実に防水紙が傷む原因となります。
防水紙は屋根からの雨漏りを防ぐ最重要な下地材です。
防水紙の劣化が早く進むほど、屋根からの雨漏りが起きるリスクは高まります。
コロニアルを塗装することで雨漏りが解消するということは決してありませんが、雨漏りを予防する重要な防水紙の状態維持には繋げられます。
こうした見解を含め、コロニアルへは定期的な屋根塗装が必要と言えるのです。
棟板金のメンテナンス
コロニアル屋根で雨漏りを防ぐためには、棟板金の状態に注意が必要です。
棟板金の耐用年数はおよそ15年程度ですので、コロニアル屋根では必ず1度はメンテナンスが必要になります。
棟板金の下地(貫板)は長年の使用で腐食しやすく、それによって釘が緩むと棟板金が浮き上がり、雨水が浸入しやすい状態となってしまいます。
棟板金は特に風の影響を受けやすい屋根頂上部に設置されており、雨漏りの原因になりやすい箇所となっています。
また、不具合を放置していると強風時に飛散してしまうような事態も発生します。
もし棟板金の下地材が腐食していた場合、交換工事の際には耐水性の高い樹脂製の貫板を使用すること
が多いです。
最終的にはリフォームが必要
コロニアル屋根は適切なメンテナンスを行うことで耐久性を高められますが、耐用年数を迎えると最終的にリフォームが必要になります。
劣化が進行し、屋根材や防水紙が機能しなくなると部分補修では対応できなくなるため、葺き替えやカバー工法によるリフォームを検討しましょう。
屋根リフォームの費用相場は、それぞれ以下のようになっております。
コロニアル屋根の特徴や注意点まとめ
●リフォーム業者としては、コロニアルよりも金属屋根材のほうがリフォームにはオススメです。
●コロニアル屋根は軽量で地震に強い特性があり、特に日本の住宅市場で人気を集めてきましたが、製造された時期ごとで特徴や注意点が異なります。
●アスベストを含むコロニアルは撤去や処分に高額な費用がかかるため、リフォーム計画時には注意が必要です。
●初期のノンアスベスト製品は耐久性が低いため、塗装メンテナンスの効果がありません。
●コロニアルへの塗装は無意味とされることがありますが、適切なタイミングで塗装を行うことによりコロニアルの状態維持に繋がります。
●リフォームでは屋根カバー工法や葺き替えなど、予算や住宅の状態に応じた最適な方法を選ぶことが重要ですが、そのためには相見積もりなどを活用して業者選びをしっかりと行いましょう。