住まいのことわざ|壁に耳あり障子に目あり
住まいに関することわざはとても沢山あります。
第一回目に取り上げたいことわざは、「壁に耳あり障子に目あり」。みなさん大体の意味はご存知だと思いますが、詳しくみていきましょう。
秘密ごとや大事な話をしていてるにもかかわらず、どこで誰が見ているか分からない
隠し事は漏れやすいから注意せよ、という意味です。
壁は室内と外界の境にあるものを外壁といいます。
建物の各室、あるいは部屋と廊下などの間を仕切る壁を内壁や間仕切り壁と呼びます。
この壁が簡単で薄いものなら、耳を当てるだけで中の会話が筒抜けに聞こえてしまいます。
ちょっと前に流行った「壁ドン」なんかは薄い壁だったり障子の間仕切りだとちょっと無理そうですね。
他にも、ふたつの地域を隔て人間の移動を不可能にして閉じ込めるための「人権を侵害する壁」もあります。
・イスラエル西岸地区の分離壁
・かつての悪名高きベルリンの壁
・最近では某国の大統領候補の某氏が作ろうと
躍起になっている対メキシコの移民防止壁
などがあります。
比喩的な壁も沢山あります。
世代の壁・記録の壁・言葉の壁・音の壁。
他にもまだまだありますね。
前進を阻んだり、進展の妨げになるもの、いわゆる「障害」となるものを「壁」と表現したりします。
壁に突き当たる、という言葉は概ねこの「壁」に阻まれることを言うようです。
壁に耳あり障子に目ありの障子とは、日本家屋における扉、窓に用いる建具の一つで、灯りを通すように木枠に紙張りとなっています。
障子の紙は最近では化繊入りの紙もありますが、主に和紙を使用します。
美濃・奥州・甲斐・土佐・肥後・信濃など、ほぼ日本全国で漉(す)かれた和紙で、書院造様式により広く普及したので
書院の明障子と言われ、外の光を取り入れる明障子に使われる紙は書院紙と呼ばれ国中に流通しました。
ガラスが普及するにつれ障子の使用は減ってきました。
ですが近年ガラス併用の障子なども作られており、アンティーク風な建具としてインテリアに取り入れられています。
和紙の障子は指に唾を付けて当てれば大きな音もなしにプスっと穴が開きます。
障子に穴を開けて内部を盗み見る、ということは日常多く見られることだったのでしょう。
「壁に耳あり障子に目あり」と同じ意味のものとして
壁に耳天に口 壁に耳垣根に目 闇夜に目あり 藪に耳 などがあります。
昔の日本家屋は壁も障子も薄く軽いもので、それにより外敵や何かから守る、というよりも、ちょっとした間仕切り→パーテーション的役割が正攻法の使い方だったのでしょう。
薄い壁や障子を通して誰がどこでなにを聞いて見ているかわかりません。
いらぬことを言わず日々を粛々と過ごしていきましょう。
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