住まいのことわざ|うなぎの寝床
■ことわざ「うなぎの寝床」
こんにちは。街の屋根やさん大阪吹田店 屋根工事コラムです。
本日は住まいのことわざ「うなぎの寝床」をご紹介します。
ウナギはご存知ですね。その形態は非常に細長いです。
そんなウナギの寝床ですから細長いのでしょう。奥に長く。
間口が狭く、奥行きの深い建物や部屋の例えで、京都の町屋を指すことが多いです。
まさに細長いウナギが寝ているような形状なのですね。
その「うなぎの寝床」の構造や、その形態が発達した時代背景や住宅事情とそのバリエーションなどを見ていきたいと思います。
京町屋は建築様式としては町屋造りと呼ばれます。
一般的には敷地形状は間口に比べて奥行き方向が長く、「うなぎの寝床」「短冊形」と言われています。
間取りは通り庭・セミの間・座敷・坪庭などで構成されています。
三間(5.4m)の間口を一軒役(ひとつの単位ですね)として課税する方策をとった豊臣秀吉の税制に反発して狭く造った、と言われています。
間口の広さで税金を課した太閤に対する京町衆の意地と知恵のあらわれとも言われているのです。
また、通りに面した家屋が沢山並ぶように、住民が知恵を出した結果の「間口の狭さ」だという説もあり、課税への反発というのは俗説であるという見方もあるようです。
町屋とは当時の町人の住居のことですが、地方の農家に対し都市部の商業や工業を営むための都市住宅です。
その町屋の表には商業用のスペース、奥には住居スペースがあります。
戸口を入るとそこには土間があり、そのまま裏口にまで続く細い屋根付きの通路があります。
店の間→玄関→台所→座敷→庭 といった造りがスタンダードな町屋造りだったようです。
では中を細かく見ていきましょう。
町屋に特有の低めの二階(厨子二階といいます)に見られる通風や採光を目的とした小窓のこと。
多くは漆喰塗りが施され、格子状の開閉できないちょっとした通気口といったところでしょうか。
その形状が虫籠に見えたことから「虫籠窓」と呼ばれている、
というのが通説です。
通りに面した家の外壁に置かれたアーチ状の垣根。
竹や木などで作られています。
その目的は外壁の足元の泥はね防止や犬のマーキング除けといわれています。
また、泥棒除けや道路との境目の役割を果たす、生活に根差した実用的な機能もありますが、その外観は趣があり街並みに溶け込み美観を損ないません。
ぱったん床几とも言います。
折り畳み式のベンチのことで、軒先の腰掛用の椅子の用途とともに、ディスプレイ棚としても使用していたようです。
明るいうちは陳列棚として商品を飾り、夕方になるとぱったりと閉じ店じまい。とても合理的ですね。
揚見世(あげみせ)とも呼ばれます。
役病除けの神様(鐘馗)の瓦人形で、入口の小屋根の上に置かれます。
これは主に関西地方で残る風習だそうです。
お向かいのお家の鬼瓦が払った災いを跳ね返すために鐘馗さまを据え置いたともいわれています。
学問成就、受験の神様でもあるようです。
防火を施した丈夫な蔵で、家の中にあるので「内臓」といいます。
江戸時代は火事が多かったので防火対策が大事でした。
木造建築の多かった江戸時代などは一旦火事がおこると広範囲に被害が及び、家を焼き尽してしまいます。
そんなときに漆喰塗の蔵が多く残りました。
それらを教訓として建造されたものが多かったようです。
町屋の多くには裏庭があります。
玄関(店庭)から裏庭までの土間の部分を「通り庭」と言います。
大きな家では途中に「坪庭」(前栽)と呼ばれる小規模な中庭もあります。
これらの庭は採光・風の通り道としての機能を兼ね備えているのです。
■昔の日本の住宅建築の知恵を現代に活かす
現代の住宅問題として、住環境の土地面積を広く確保できないということがひとつあると思います。
密集した住宅地には表に面していない土地や奥まったところにある土地など、様々な条件の形状の土地があります。
採光が取れない、通風が心配だ、快適な広さをとることができるのか。
間口の狭い奥に広く長い土地があり、それを活用したい場合、日本に昔からある「うなぎの寝床」という住宅の知恵が活きるのではないでしょうか。
この知恵を拝借し上手に活かすと、現代でもモダンで快適に暮らすことができるヒントが沢山あるように思います。
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